アユの泳ぐ川を取り戻そう    

           
 近くの川に昔はアユがいたのに今はいない。そのようなことありませんか。
 なぜ、いないのでしょう?水が汚れているから? 確かに、どぶ川であればアユは来ないでしょう。
 でも、
大抵、川の下流部にはアユはいます。なぜなら、アユは仔アユ時に海アユとして湾内を回るため、他の川のものも入ってくるからです。
 では、なぜあなたの所(川)まで来ないのでしょう?
 その最大の原因は、川にはそれを分断するように造られた多くの井堰・堰堤(<下流部にあるほとんどの堰堤は農業水利施設(頭首工)>、<中上流部にあるもののほとんどが河川管理施設である床止め堰堤または砂防堰堤>)があり、そこに魚道が造られていないか、あっても有効に機能していないため、遡上を妨げるバリアとなっているからです。特に古い年代(昭和30年代など)に造られたものは、堰によっては取水優先で形だけの魚道が取り付けられている場合があります。
 そういったものを改善すれば、アユは必ずあなたの川まで上ってくるはずです。

 近年は環境問題に対する意識が高まっており、川についても魚にやさしい川づくりの必要性を堰堤の設置管理者である人たちも理解しています。決して、無理なこととあきらめることはありません。


●魚道整備(改修・新設)までに必要なプロセス
 下流にアユがいるか確かめます。
 夏の時期に下流で近くの人に聞けばわかるでしょう。又は、国土交通省(旧建設省)地域工事事務所が定期的に行う『河川水辺の国勢調査』の結果を見ればわかります。(→ その資料は、後の働きかけ活動に大きな力を発揮します。)
 下流にいることがわかったら、遡上してこない原因を自分の目で調べます。
 原因となっている堰堤がわかれば、
設置管理者(大抵、その下流部にある土地改良区等です)を調べます。
 魚道整備のための補助制度を調べ、受益者負担なしで改修等ができるか調べます。
 都道府県の農業用施設担当課又は国土交通省地域工事事務所等に聞けばわかります。
 地元負担なしで魚道の整備できることが確かめられたら、その堰堤の設置管理者にそれを働きかけます。その際、川の上流等で漁業権を持つ河川漁業協同組合があれば、まずそこに働きかけ、そこから要望してもらった方が効果的です。
 (魚道整備に地元負担が必要な場合は、その負担をどうクリアするか大きな課題となり、どうしても長期戦となります。)
 堰堤の設置管理者の承諾が得られれば、市町村を通し、都道府県の農業用施設担当課へ事業採択の要望をしてもらうこととなります。
 
なお台風などで被災したときなどはあわせて魚道整備をしてもらう絶好の時です。




魚道の整備(改修・新設)には


<魚道の整備には、補助制度と河川漁協が強い味方となります>
 
魚道の整備における三つのポイント

@ 補助制度の利用(費用面の解決)です。これが最大のポイントです。
 通常、農業用施設を補助を受けて改修や新設をする場合、設置管理者である土地改良区などに地元負担が必要となります。頭首工の魚道整備をする場合も、基本的に同様です。しかし、少しでも地元負担が伴えば、まず魚道の改修等は実現しません。なぜなら、魚道整備はその設置管理者である土地改良区などの利益との関係が非常に薄く、それに伴う負担増に対し、理解が得られがたいからです。

 しかし、国土交通省の直轄事業や農林水産省の補助を受けて都道府県が行う農業施設改修事業のなかには、地元の負担なしで魚道整備ができる事業があり、その利用が不可欠です。また、地元の負担が必要な場合でも、魚道という特殊性から市町村がその負担を行っている場合もあります。
 (三重県の場合、一定の規模以上の頭首工の場合、地元負担なしで魚道整備ができる補助制度が利用できます。一方、その規模に満たない頭首工の場合は、地元の負担が必要とされ、課題となっています。)
 
なお、対象が砂防堤や床止め堰堤など河川管理施設であるの場合は、都道府県又は国が設置管理者ですので、整備に地元負担は伴いません。

A その河川に漁業権を持つ漁業協同組合の協力です。
 通常、河川漁協は上流でアユの放流を行い、鑑札等を販売し営業しています。漁協にとり、頭首工の魚道整備により、アユが上流まで遡上できるようになることは願ってもないことです。毎年、アユの遡上のある川では、どれだけの数のアユが遡上してくるかが、大きな関心事とされていると言っても差し支えないでしょう。
 従って、魚道整備の働きかけと漁協の利害とは一致するわけです。(近年、漁協が主体的に取組むケースも増えてきています。)
 また、土地改良区や市町村などが、魚道整備に向けて動くには、やはり大義名分が必要です。それこそ、漁協からの正式な要望書が求められるわけです。
 言い方を変えれば、活動は主役である漁協に動いてもらうための道路そうじのようなものです。 

 さて、では漁協がない場合ですが、その場合は、運動を大きくして土地改良区や市町村等を説得するしかないのかもしれません。

B 河口から上流までの一環した取り組みであることです。
 単発の魚道整備では、補助事業としての事業採択は難しいでしょう。県や国の事業採択を受けるには、河口から一定の上流域までの遡上環境を整えるものでないことにはいけません。補助金の効果的な執行の観点から必要とされる条件です。ある所だけで改修しても、他の所が改修ができなければ、補助の意味が少ないとされるからです。 


<行政機関もあなたの力になります。>

 環境問題に対する意識の高まりは、市町村を始め、県や国の機関の職員さんも一緒です。誰しも郷土の自然環境を大切に考えており、相談に行けば、行政機関も必ずやあなたの力になっていただけるでしょう。
 ただ、行政機関では法令や規則、予算による制約が大きく、その中での支援となります。
 職務権限外のこと、法令等でできないこと、予算上対応ができないこと、また行政機関の職員さんが進めていくのに非常な困難等が伴うことなどは、いたずらに求めても大きな成果は期待できません。
 どの課で何がどこまでできるかなど、行政機関の仕組みなどを理解するとともに、彼らが動きやすくなるような条件を整えていくこと
が必要でしょう。




魚道の整備(改修・新設)のための補助事業等


事 業 名 称 整備対象施設・事業内容 地元負担 要件・注意事項 補助・事業主体
魚がのぼりやすい川づくり推進モデル事業 頭首工や砂防堤における魚道の新改築 なし 地域のシンボルとなっている河川・渓流
国土交通省河川局長による「モデル河川」としての指定が必要。
主として大河川が対象
国土交通省の直轄事業又はその補助を受けた県営事業
農業水利施設魚道整備事業 農業水利施設における魚道の新改築 なし 1級又は2級河川に設置された農業水利施設で、取水能力0.30立方m/s以上 農林水産省補助による県営事業
ため池等整備事業 頭首工・水門・道等の改修・撤去
(頭首工等の改修に併せて魚道整備も可)
8から18% 1級又は2級河川に整備されている農業用河川工作物で、その構造が不適当、又は不充分であるものについて、洪水による災害を未然に防止するための整備補強 農林水産省補助による県営又は市町村事業
農林水産施設災害復旧事業 災害を受けた農林水産施設の災害復旧
(頭首工等の復旧に併せて魚道整備も可)
35%以下 1級又は2級河川に整備されている農業用河川施設の災害復旧に併せた魚道整備    〃
※   砂防堤・床止め堰堤は、河川管理者(国土交通省又は都道府県)が直接管理していますので、魚道の整備を要望する場合は、直接、その地域機関にすることが必要です。(地元負担なし) 
 地元負担は、市町村及び受益者(土地改良区等)の合計負担率です。都道府県や市町村によりその補助率や市町村負担率が異なる場合があり、従って受益者負担率も異なる場合があります。(詳しくは、市町村農業施設担当課でご確認下さい。)



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