『ふるさとの川づくり運動』を始めませんか


「ふるさとの川づくり運動」
 河川を地域環境の視点から見直し、固有の自然環境や、魚類(水生昆虫を含む)の生態系を保全、回復、創造し、憩いとうるおいのある河川環境を造り出していく地域環境運動です。

 地域には、その地域固有の自然があります。
 私達の身近にある自然は昔ながらの人の手のついていない自然というのではなく、生活や農林業といったこれまで人間の営みにより手を加えられているものであり、本来の自然を越えた正に地域性をもった自然があります。
 川もしかりです。昔より地域には、生活用水や稲作農業用水の必要上から、網の目のように水路が張り巡らされてきました。少し前まではそれを「小川」とも呼んでいました。 
 以前はそのような身近にあった小さな小川にさえもたくさんの魚類がいて、魚類はまさに海と川、身近な小川と本川、上流と下流の回遊などを通じ、地域環境に適応する形で、豊かな生態系が地域に形づくられてきました。
 この豊かな自然や生態系により、川は地域の生活・産業を支えるだけでなく、憩い・コミュニティの場でもありました。
 しかし、これまでの治水利水中心の河川整備による堰堤による川の分断化、小川のコンクリート水路化・合流部等の落差工による本川との分断化や水質の悪化等により、正に魚類の生態系の視点から見ると、「細りつつある」と言えましょう。
 下水道整備が進み、水質改善が進みつつある現在、河川を取り巻く環境を改善、創造し、豊富な魚類が生息する豊かな河川環境を回復したいものです。
  


「ふるさとの川づくり運動」には

素朴な疑問がきっかけです>
 変化した川の環境に対する素朴な疑問などを考えていくことが運動のきっかけとなります。
 昔いた「小魚」、「アユ」、「沢がに」、「蛍」や「きれいな流れ」が失われたことなどに対する疑問や思い出などを誰しも持っているのではないでしょうか。
 川の環境が大きく変化して久しく、現在では、誰しも現状を変わらないものと受け入れてしまっています。
 しかし、素朴な疑問をきっかけとして考えいけば、川に対する思い入れが川づくり運動の源となっていきます。

<川をよく知ること>
 私たちは、地域の川をよく知っているようでも知らないものです。川は昔と大きく変わっているはずです。
 自分たちの足で川を歩き、川の素顔を確かめることが重要です。
 また、沿川の人々から直接話を聞くことも、川全体の変化を知るうえで大切なことでしょう。

<川の状況に即した取組み>
 一口に川と言っても、その大きさ・長さ・流域の状況、気候・地理的条件の違い等により、その有り様は様々です。
 川づくりを行なっていく場合にも、川の状況を十分に把握したうえで、その状況に即した取組みを進めていくこととなります。

<川づくり運動の取組み形態> 
 川づくりは、地域(川)に対する思い入れさえあればだれでもできます。
 周囲にも同様な思い入れを持つ人たちがたくさんいるはずです。そういった人たちとうまく力を合わせていければ大きな力となっていくことでしょう。

 現在、川づくり運動が取り組まれている形態としては、次のようなものがあります。
 @ 有志によるグループ活動 
 A 都道府県や市町村が中核となっての取組み (宮川流域ルネッサンス)
 B 住民と行政との協働による取組み 
 C 個人によるネットワークを利用した活動
   ※ これらの取組みに地域の大学などが関与していることもあります。

 近年、行政の動きとして住民と行政との「協働」が注目されています。様々な形で行政が取り組みを開始しています。これは、住民と行政がまちづくりなどの身近な課題について共に考えそれぞれの役割分担により協働して取組んでいくものであり、多くの住民の参画をとおして、今まで以上に住民起点の行政を行おうとするものです。また、住民自らが地域の問題解決などに向け取り組むという意識の醸成とともに、住民と行政の協働により今まで以上に広がりを持った取組みが可能となるなどの利点があります。
 住民誰でもが参画しやすい仕組みでもあり、今後多くの市町村で取組まれることが期待されています。

 活動は個人でも、グループでも始めることができますが、施設整備や組織的・継続的な取組みとなると行政の得意とするところです。どのような取組み形態にせよ、めざすべき目標に応じて行政との協働・連携は考えていく必要があるでしょう。
  
 <できることを楽しく>
 川の環境も長い時間かけて変化してきました。
 それを直ちに昔ながらの状態に戻すよう求めることは困難であり、かつ現実的ではありません。
 できることから始め、楽しく、息長く続けていきたいものです。また続けていくうちに取組みに広がりもでてくることでしょう。
 ステップ倍ステップです。一歩一歩の積み重ねが何倍にもなって返ってくることを期待して!





ふるさとの川の現状認識


<変化していく川の環境>
 川は流域全体にうるおいと豊かさをもたらす地域固有の財産であり、地域に張り巡らされた巨大な水流ネットワークです。それは昔から、生命を育み、私たちの生活を支え、地域の美しい自然環境の一部でした。
 しかし、川を取り巻く環境は、これまでの治山、治水、利水優先の河川整備・利用や人々の生活様式の変化等に伴い大きく変化してきました。
 小川の水路化、川の分断化、川床の低下、取水等による表流水の減少、また山林の荒廃等に伴う保水力の低下、宅地開発等による水質の悪化など、数多くの変化があります。これらにより、魚などの生息環境は大きな影響を受けたばかりでなく、私たちは地域の豊かさの象徴でもあった身近に親しめる小川を失いました。

<小川の水路化・暗渠化>
 私たちが川を捉える場合、大きな流れに目がいきがちです。しかし、身の回りにある水路も、少し前までは『小川』と呼ばれ、大きな川につながる川の一部でした。その大部分が、昔から稲作農業の必要上作られた水路でもあったわけですが、そこには豊かな自然が宿り、地域に豊かさとうるおいをもたらす『小川』となってきたものです。
 その地域に張り巡らされた『小川』こそが、本川、水田、湧水地とのつながりを通じ、数多くの魚類を育む場所であり、本川との行き来により、水系全体の豊かな魚類層を支えるところであったとも言えましょう。
 近年、最も身近な川であった『小川』は、生産・生活手段のひとつとして文字通りの「水路」に変貌してしまいました。そこには、自然や魚類はなく、うるおいや親しみを感じようがありません。それは、私たちにとり身近な川・自然の喪失と言えましょう。
 水路は、さらに維持管理上の観点から、『暗渠化』という動きも始まっています。

<分断され、ほそる河川環境>
 川は、本川において水源から河口まで、多くの大小の堰堤により分断されています。
 昔であれば『小川』と呼ばれた農業用排水路についても、川との合流部分で大きな落差の水落が造られ、本川などと完全に分断されているものが数多くみられます。
 また、農地整備の進展による排水路と水田との落差についても、フナやナマズなどのような増水時に水田等の一時的水域に遡上し、産卵する魚種にとり、生息数の減少の要因ともなっています。 
 このように、魚類の生態系上、水のつながりは非常に重要であり、かつては本支流、水路だけでなく、地域に広がる水田すべてが魚類の生息に密接に関係していました。現在は、それが堰堤や落差工等によりバラバラに分断されている状況にあると言えます。
 魚類の生態系上、川は地域全体であったのが、地図上における青い線だけになり、又その線も堰堤等により分断され、正に、「細ってしまった」と言えます。
 地域の魚類は、海から遡上してくるもの、地域の川で回遊するもの、きれいな水の場所だけで生息するもの、特殊な産卵形態をとるものなどさまざまなものの寄り集りでもあり、分断された河川環境は水量・水質の問題とともに魚の回遊や生息に大きな影響を及ぼしています。

<川は流域、即ち地域そのもの>
 本来、川の水源とは流域全体であるはずです。私たちの足元に水源があり、そこに川の始まりがあるのです。
 水田の用排水、雨水、家庭排水などが流れていくために地域にはいたるところに川へつながる水路が作られています。川の環境を考えていく場合、川を一本の線としてではなく、「流域」の視点で面的に捉えていくことが今求められています。
 また、上で述べたように、魚類の生態系上、地域に広がる水田地帯そのものがその生息環境の一部でもあります。
 このように、川づくりを考えていくことは、地域そのものを考えていくことともなります。

<川づくりは地域づくり・まちづくり> 
 川づくりは、広く捉えると流域全体が対象となります。そのためには、地域住民、事業者、市町村、県、国等、関係者すべての協働・連携が必要とされます。まさに、川づくりは「地域づくり・まちづくり」と言えるでしょう。

<川づくりを考える環境が整いつつあります>
 昔と比べ、大きく環境が変化している川ですが、近年、下水道などの整備進展によりその水質が改善の方向にあることや多自然型を基本する河川整備の開始により、河川環境は改善への動きも始まっています。
 住民の間で、思い出のある川などを対象とした身近な環境問題への関心が高まりつつあります。また行政においても、流域などを単位とした河川環境の改善に向けた取り組みや、住民等との協働によるまちづくりへの取組みが始まっています。
 私たち住民自身が川づくりについて考えていく環境が整いつつあると言えます。


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